July 28, 2010

「波紋が広がる可能性がある。」

7月26日:東京新聞(共同通信)
「新駐中国大使の丹羽宇一郎・元伊藤忠商事社長は26日、都内で、中国の国防費が2009年まで21年連続で2けたの伸びを記録したことに触れ、軍事力増強は「大国としては当然のことといえば当然のことかもしれない」と述べた。
 国防費の大幅な増加に対しては、中国脅威論の象徴として日本や米国などで警戒感が根強いだけに、民間人初の駐中国大使として今月末に着任する丹羽氏の発言は波紋を広げる可能性がある。

7月27日:産經新聞
「JR東海の山田佳臣社長は26日に名古屋市で開かれたリニア中央新幹線の建設促進を求める集会で、中国・上海のリニアモーターカーに触れ「あちらが小学生のおもちゃなら、わたくしどものリニアはiPadみたいなものだ」と発言した。
 米アップルの多機能端末「iPad」を例えに自社の技術の優位性を強調しようとした発言だが、波紋が広がる可能性もありそうだ。

もう、こうい書きぶりにはウンザリです。

人の揚げ足をとっておいて、それがあたかも社会の良識に反しているかのように導く。記事を書いている記者が自分の責任で批判するのではなく、他人に預けた格好で批判を展開する。

どこに「波紋が広がる」のか? 大新聞が大好きな「世論」が発言を批判している、とおっしゃりたいんでしょうね。しかし、彼らのいう「世論」って、どこに実体があるの? 

「ほらほら、こんなこと言ってるよ。おかしいよね?ね?問題だよね?そう思うでしょ?ほら、こんな発言した人は糾弾されるべきだよね?ね? ほーら、みんなこの発言は問題だって言ってるよー。」って言ってる感じ。で、彼らのいう世論とはこんな幼稚な誘導に「そうだ、問題だ。」と反応する市民の集合体ってことなのかもしれないけど、そんなもの、実在しないよ。

百歩譲って、発言の内容が本当に問題で、大きな問題を起こす可能性のあるものなら、「波紋が広がる」と書いても許されるでしょう。たとえば、時の総理大臣が日米安保は見直すべきだと発言したとか、元与党幹事長が官房機密費は政治評論家の買収に使ったと発言したとか、ならね。

でも、丹羽氏、山田氏の発言は青筋立てて非難すべきことか? ひとつの見方であり、一片の真理を含むものではないか? 

この発言の記事を書くなら、「波紋が広がる可能性がある。」ではなくて、「問題であると考えられる。」と、記者の署名入りで書けよ。揚げ足取りの話をあたかも「世論」が糾弾しているかのように書くようなことをやっておきながら、ネットの世界は匿名で危険で信用ならないとか言う。どっちが卑怯なのか、よく考えてほしいよ。

July 27, 2010

飽食の時代っていうことですね。


ちょっと前に、「太るようなことをすれば太る」というエントリーを書いたんですけど、実は他人事ではないのです。

前回一時帰国したのは2009年年末から2010年の1月下旬までの約一ヶ月だったんですけど、日本にいると「この際」とばかりにためらうことなく食べてしますんですよね。それに、割といろんな用事が入るので、ジムに行って汗を流そうという空気にはならないことが多い。そもそも年末に日本に帰ったりしたら寒くて動きたくなくなるしね。当地に比べると日本って腹が立つほど寒いから。

そんな生活をやってるとすごいですよ。一ヶ月でもしっかりだらしない体型になる。人間の体ってこんなに早く変わるのかって驚くくらいです。

1月末に当地に戻って来て、これはマズいなと思って、ちょっとは節制するよう心がけてはおりました。とりあえず、2、3日に一度は帰宅後、着替えるときに体重計に乗って 記録を付けてみてました。 意識したわけじゃないですが、思えばこれは岡田斗司夫さんの「レコーディング・ダイエット」とやらに書かれてるらしいですね。岡田さんは体重だけじゃなくて食べたものも記録を付けて、入ってくるエネルギーとその余剰をしっかり認識する、ということを述べてらっしゃるらしいです。結局のところ、入った熱量と消費した熱量の差が体重の増減になるんだから、きわめて真っ当な主張だと思いますよ。すくなくとも「これを食べればやせる」「このマッサージでやせる」というような非合理的なものじゃない。

で、1月末から7月までの約170日間、2、3日に一度は帰宅後、着替えるときに体重計に乗って記録を付けてみてました。その結果をグラフにしてみたのがご覧のグラフ。

・・・あんまり変わってない。

仕事や出張、社交のお誘いでたびたびお休みしたもののちゃんとジムにも通って、お腹周りは1月時点よりは改善したとは思うんですけど、体重的にはあんまり変化してないですねぇ。まあね、体重自体は、実はあまり気にしてない。脂肪少なめ筋肉多め、 だらしなくなければよろし、という感じなのですが、それにしても変化がなくてつまんないよね。

とりあえず次の一時帰国の9月までになんとか元の状態に、と思ってますけど、さすがにアラフォー。以前のようにはさくっと元に戻らないねぇ。まあ、9月からの一時帰国は寒い季節でもないし、帰国中もドカ食い、深酒を避けて、運動も続けるようにしようと思いますよ。



でも、やっぱり、日本って世界一食べ物がおいしい国なんですよね。自分が日本人である、ということを差し引いても、これだけいろんなものが、それも確かなクオリティで食べられる国は他にないと思う。節制って難しい。

July 24, 2010

情報を追わない人

「こないだの参議院選挙、民主党が大敗したんですってね。聞きました?」

と、聞かれたのが7月22日。参議院選挙が行われたのは7月11日。いくらなんでも、情報に疎すぎやしないか?

まあね、そういう環境ではあるわけです。日本のテレビはNHKワールドが見れることは見れるけど専用の設備がいる。当地の衛星テレビには日本のテレビ局は入ってない。新聞は数日遅れな上に高いので、日本大使館くらいしか購読してないだろうし。私の自宅はこのところ大分インターネットが安定して繋がるようになったけど、まだまだ繋がらない地域も多い。

日本にいれば、テレビをつけてるだけで、街を歩いているだけで、人と会うだけで、特に意識しなくても世相の関心はなんとなく自分の中に入ってくる。でも、こんな南部アフリカの彼方にいると、関心を持って見ていないと自然には情報が入ってこないわけだ。

日本のテレビが見れないのは私も同じ境遇なんだけど、すでにいろんな論者の選挙結果の分析や今後の予測ををネットで読んだし、テレビ東京が池上彰氏をキャスティングして放送した選挙速報番組が出色で視聴率もよかったとかの話題にも接していたので、選挙が終わって10日以上も経ってから選挙結果をさも最新の情報のように話していた人の様子に驚いてしまいましたよ。

しかしまあ、私は日本人として日本の世相に関心があるし、基本的になんでも「知りたがり」なので、参議院選挙の結果を10日も放置することなんか想像しがたいんですが、人はそれぞれですからねぇ。そんな、日本や世界のニュースを聞くことになんの関心もない人もそりゃいるでしょう。身の回りにあふれる「なんでだ?」という疑問に悩まされることなく、日々笑って平穏に暮らせる人もいるでしょう。あれもこれも知りたい、どうなっているのか興味がある、不思議なことはそのままに出来ない、そんな好奇心を抑えることができない私の方が、実は損な性分なのかもしれないですね。



BEGINの「がんばれ節」の一節。

インターネットで何を知る
携帯電話で何を知る
頭はいっぱいになったけど
腹減って飲みたいお味噌汁

ニュースを見なけりゃ大変よ
見ればよけいにたいへんよ
気晴らししましょう空の旅
みわたすかぎりに太平洋

July 20, 2010

太るようなことをすれば太る。

一昨日、昼ご飯が一緒になった南アの白人3人。 FedExに勤めているそうな。

3人とも、とても似た体型をしている。 身長は私と同じくらいなので、180cm強でしょう。 簡単に言えば、肥満。といっても、でぶでぶした感じじゃなくて、 肉が堅い感じの肥満。お腹周りが大きくて、足が細い。3人のうち2人は坊主なので、「入道」っていう単語が思い浮かぶ。3人は 一緒にダイビングをやった人たちで、運動はちゃんとできるんだけど、でも、やっぱ、おデブさん。 飛行機で隣の席になったらイヤだな、って感じ。

でね、一緒に昼ご飯食べたわけですけど、まず、異常に食べるのが早い。こちらがまだ3分の1くらいしか食べてないのに、すでに食べ終わって、足りないからパンを追加しろとか店員に頼んでる。3人とも。 まさに「むしゃむしゃ食べる」とはこのことかって感じでさ。 むしゃむしゃ音がした(気がした)もん。

そして、脂っぽい物を好んで食べてるんですよね。ポークソーセージとか、ベーコンとかね。同僚と一緒にいつもこんな食生活してたら、そりゃ、太るわ。やっぱり 肥満には理由があると納得しましたよ。

よく、食生活に気をつけてるのに太る、と嘆いている人がいる。はては「水を飲んでも太る」とかね。で、世の中にはありとあらゆるダイエット法があふれてます。こないだ雑誌に載ってたのは、「No Diet Diet」(ダイエットしないダイエット)。もはや何のことだか分かんない。

もうね、非科学的なダイエット法に飛びつくのはいい加減止めた方がいいですよ。結局のところ、摂取した熱量と消費した熱量の差で体重の増減が決まるんですから、摂取する熱量を減らすか、消費する熱量を増やすしかない。その上で、摂取量を減らしても栄養が偏らないように、とか、一時で無理して運動して体調壊さないように、とか、合理的にアプローチしていかないとねぇ。

FedExの3人を見て改めて実感したのは、太るようなことをしてれば太る、という当たり前のことです。理由なく太ることはないんですよ、なんか稀な病気にでも罹患してない限り。

お互い、気をつけましょうね。

July 19, 2010

ダーバン。裏表のある街。

南アフリカ第3の都市、ダーバン。

インド洋に面して白い浜が続く美しいリゾート地というイメージがある反面、外務省の海外安全情報では、戦争が起きてるわけでもなければテロリストが潜んでるわけでもない平時の街なのに市街中心域に「十分注意」が出ていて、さらにその中心部のメインストリートは「地球の歩き方」でも「昼間でも徒歩で出歩いては行けない」との注意書きがあります。

そこをレンタカーで通り抜けてみました。確かにここじゃ車を降りたくない。というか、赤信号で止まるのも不安。ゴミが散らかった通りに、なにをやってるのか分からない人がたくさんうろうろしている。商店のウィンドウには鉄格子のシャッターがついてるし、ぎっしり黒人を乗せたミニバスが乱暴に走り回ってる。街を歩いている人も、ほぼ100%黒人。たとえ「地球の歩き方」の注意書きを読まずに入り込んでも、直感的にここはまずいぞと気付くと思うよ。スラム化してるとまでは言わないけれど、かなり荒廃しているのは感じられる。

中心部を抜けて、ダーバンの北部郊外方面に出ると、状況は一変。ゆったりとした敷地に芝生の緑も美しい住宅や店舗が並び、街路樹の植わった道路も整然としている。高台からは海が見渡せ、アメリカ西海岸のような異様に健全な雰囲気(って、カリフォルニアに行ったことないけど)。たぶん、白人とカラード(ダーバンはインド系住民が多い)が主な居住者だと想像されます。

かつてニューヨークも似たような状況にあったはず。ジュリアーニ市長の下でスラム地区の改善政策が行われて、見違えるように治安も改善したと聞きました(ニューヨークも行ったことないけど)。

振り返って、我が国にはそういう中心部が荒廃して郊外に健全な街が広がる、という都市はあまり聞かないですよね。東京を例にとっても、江東、江戸川、あるいは新宿の方にはガラの悪い地域もあるけれど、スラムってわけじゃないし、人が歩けないわけじゃないしね。

なぜ、中心街が荒廃した都市ができるのか。そういえば、今私が住んでいるハラレも当てはまるなんです状態ですけどね。

理由としてまず、物理的に開発可能な土地の面積の違いが考えられる。ダーバンにしても、ハラレにしても、都市部を広げていこうと思えば、どんどん郊外に広げていくことが可能。山地や海にぶちあたることもなく、割と平坦な(道を造れば車で走れる程度)の土地が延々と広がっているので、新市街をどんどん開発していける。荒廃しつつあるエリアから離れて、新天地を開拓することが比較的簡単。日本じゃ、そういう土地があるのって、北海道くらいじなんじゃないでしょうかね。

で、上記の理由もあって、日本では公共交通機関がよく整備されている。限られたスペースなので、その内側に鉄道や地下鉄を縦横に整備して、人々が車じゃなくても移動できる効率的な街ができる。だだっぴろく拡大した都市圏には、幹線の鉄道は整備できるだろうけど網の目のように鉄道網を張り巡らせることは経済的に割に合わない。

公共交通機関が便利なので、日本では中産階級、あるいは富裕層でも電車や地下鉄に乗る。車がステイタス、という面はあるし、一握りのVIPは電車には乗らないだろうけど、一般人が電車に乗ることになんの疑問もない。

他方で、ダーバンのような街だと、郊外に広がった美しい住宅地では車がないと動けない。公共交通機関っていっても、ミニバスくらいしかないし、ミニバスは不便。なので中産階級以上は車が主要な交通手段になる。結果として、車を持てず、公共交通機関に頼らざるを得ない層が、都市中心部に住むという構造にならざるを得ない。とすると、公共交通機関は貧しい層の乗り物ということになり、ますます中産階級の足は遠のく。豊かな人ほど郊外に逃げて行く。

そういえば、世界の有名な観光地では、往々にして高級なホテルほど郊外にあるよね。駅前や空港近くのホテルは良くてもビジネスのレベル。本格的な「ホテル」は郊外で車でしかアクセスできないところにあるのが普通。ま、余談ですけど。

そう、それで、経済格差によって住むエリアが確定され、貧しい層は都心部に、豊かな層は郊外に、となっていくわけですねぇ、たぶん。そして、車を主な交通手段とする中間層、富裕層のために道路はまずます整備されていく。現に南アフリカのハイウェイの整備状況はすばらしい。片側3車線、4車線、5車線の120km以上で飛ばせるハイウェイは快適。

都心部が荒廃した都市ができる理由には、物理的に開発可能な土地の広さ、それに伴う公共交通機関の整備状況、そして住民の経済格差が挙げられると思うのですが、もうひとつ、人種問題があることも無視できないと思われる。歴史的経緯から一般的に黒人が貧しい。いくらアパルトヘイトが終わったといっても、合法的な経済活動で収益を得ている白人のビジネスや土地を取り上げるわけにはいかないし、それこそ逆人種差別になっちゃう。植民地時代の遺産で食ってると言えばそうかもしれないけど、現実には南アフリカの土地を「購入して」入植し、しかるべき「投資をして」財を成した白人が少なくないので、「植民地主義の下で原住民の財産を搾取した」とは言い切れないし。
生まれながらの不平等は是正されるべき、として相続税の課税強化したところで、法人化されている財産には影響は現的的でしょうしね。

どうしても乗り越えられない人種間の壁は、社会の分断を促進する方に働くことはあっても、融合させる方に働くことは、まあないでしょう。結果、固定化した貧困層には黒人が多く、荒廃した都市中心部に住み、ますます白人やカラードの中産階級から蔑視され、取り残され、都市中心部と郊外の分離が進んでしまう。

*   *   *

ニューヨークで成功したと言われる都市再開発。
ただ古い建築を取り壊して道路やインフラを整えて形を繕ってみても、格差問題を解決しない限りは似たような荒廃地域が別のところにできるだけな気がする。税制や社会福祉政策、南アフリカではさらに積極的差別是正策(Affirmative Action、南アではBlack Empowerment Act)も必要でしょう。それが都市の治安改善、行政の決まり文句みたいですけど「住み良い街づくり」に繋がっていくんでしょうね。

ダーバンの郊外は美しいです。海も近いし、緑も映える。でも、背後にあまりにも暗い都市の分断状況があることを思うと、単純に「すばらしい街だね」って手放しで歓迎できないです。

格差問題が注目を集める日本にも、こんな風に分断された都市ができるのかな。またあるいは、日本以上に格差が広がっている中国沿岸部の都市はどんな具合なんでしょう?

July 16, 2010

旅もネットが普及して変わったよね。

久しぶりに一人旅に出ております。

まあ、アフリカとか中東とかで働いていると帰省するだけで結構な旅程だし、乗り継ぎが長時間だったりすると街にも出るので、一人旅っぽいことをすることは多いんですけど、あらためて予定を立てて飛行機も予約して出かけた一人旅は、何年ぶりでしょうかねぇ。あ、2008年末から2009年正月にかけてのタンザニアが最後か。

今回の旅先は、Umkomaasというところです。南アフリカのKwaZulu-Natal州の小さな町。州で一番大きな街・ダーバンから車で小一時間です。メインのアクティビティはスキューバ・ダイブ。なんでも、サメがたくさん見れるんだそうで。

*   *   *

そういえば、前に一人で旅をしたときは、ネットがここまでユビキタスたじゃなかったですよ。宿をとったら、どっかネットカフェがないか探して歩いた気がする。前回のタンザニアのときも、本土のセレンゲティやンゴロンゴロではケータイからネットにアクセスできたけど、ザンジバルに渡ったら、たしかケータイのパケット通信はできなかった。なんか工事中の建物の一角にあったネットカフェに行った覚えがある。

ところが今回は、MacBook Proを持っての旅行です。まあ、飛行機を降りたらレンタカーを借りて宿まで行く手はずにしてたので、荷物を軽くしなきゃというインセンティブが働かなかったというのもあるんですけどね。で、予想通り、宿には無線LANがあった。なのでこうしてブログも書けてるわけです。

*   *   *

一人旅でも、特に寂しいという思いをしたことはほとんどないように思う。アジアだと一人旅の旅行者多いので、旅程が合うところまでは一緒に行動したりするし、宿では同宿の人たちと雑談して過ごすし。

でも、一人旅だと自分に向き合う時間が増えるのは事実。寂しくしてる訳じゃなくて、日常から離れて、仕事に追われない時間もたっぶりできて、自分の生活圏ではない世界を外から眺めて、いろんなことを考える。日々の暮らしは、目先のことに追われて(というか、目先のことを言い訳にして)「生活」で隅々まで埋め尽くされがちになるけれど、旅先では一旦日常から離れて「人生」を見つめたりする。

ところが、ネットが普及し始めた当初、あれは2000年前後でしたか、カンボジア旅行中にネットカフェに入ってメールをチェックしたら、仕事関係のメールが入ってて、会社に国際電話をした覚えがある。ICTの普及によってどこでも仕事ができるとか、『SOHO」とかいう言葉がもてはやされたりしてたんですけど、その結果がアンコールワット見物後に会社に電話かよ、って思った。

ICTは日常が旅先に進出することも可能にするんですよね。旅に出て、日常から離れてるはずなのに、なかなか日常から逃げられなくなってる。それでもまあ、今、この宿にはテレビがないので、日常の喧噪は聞こえないですけどね。

かつて一人旅のときは、スケッチブックにいろいろと書き綴った。そのとき見たもの、食べたもの、考えたこと。それは当時の自分を振り返る心象のアルバムのようで、今でも大切に持ってます。それがね、ICTが普及すると(要は旅先でもネットがユビキタスになると)、自分一人しか見れないスケッチブックではなくて、みんなと共有できる空間に書き出すことができる。きれいなものを、みんなに「きれいだよ」って伝えることができる。そう、今、私がこうやってブログを書いているように。

たしかに、それもすばらしいことだと思う。世界旅行をしながらブログを更新したり、エベレストに登りならネットで中継したりして、多くの人を力づけたり、楽しませたりしている人もいる。かつての「旅」は個人的な経験だったけど、その経験をみんなで共有し、新たな価値を紡ぎ出されてるよね。

ICT、ネットによって旅先を日常から切り離しにくくなった。他方、だれかさんの旅の経験がいろんな形でたくさんの人に影響を与えることも可能になった。いい、わるい、は別にして、変わったよね。


でも、今一度、ネットがなかった時代のような一人旅をしてみたいとも思う。昔を懐かしむとは、私も年を取ったものだとは思いますけどね。

July 13, 2010

ソーシャルメディアが市民権を得るまでもう一息かな。

参院選の結果は賢い人たちが様々に評価し分析して論評してらっしゃるので、日本の情報に乏しい遠隔地に住んでる私がわざわざ何か書く必要もないような気がしたんですが、一点だけ、備忘録を兼ねて記録しておきたいことが。

今回の選挙は結局ネット上での選挙活動を一部解禁する改正公職選挙法の成立を待たずに実施されてしまったので、ネット上での本格的な政策論議は何も行われなかったわけですけど、それでも、従来からあるマスメディアだけではなく、ソーシャルメディアが世論形成に一定の役割を持ち始める兆候が明らかになったように思いますよ。私が、こんな変な外国にいて日本のテレビはおろか、新聞さえロクに見れないという環境にあることを差し引いても、ネット上での議論の持つ意味が大きくなってきたって感じる。

大手マスコミが、政治家の揚げ足取りに終始する底の浅い記事と、マッチポンプじゃないかって感じの政党支持率調査の結果で覆われるなか、ネット上ではいろんな論客が多様な角度から政治/政策を論じていたよね。ネット嫌いのマスコミさんたちは、ネット上の意見は匿名性が高くで信用できないと批判するけど、たとえ実名じゃなくても確かな視点とクールな頭を持った人の論説、意見は説得力を持って伝わってくるし、むしろ中立を装って、一人称を使わず、誰か他の人の発言を引用したり、政党支持率調査の結果を加工したり、あるいは単に受身形の文章で「〜が望まれる」とか「〜が批判されよう」といった無責任な書き方をして、社会の良識を代表してるようなエラそうな(でも薄っぺらい)論説をぶつマスコミの方がよほど信頼できない。

どうがんばったって、一次情報に接することができない人の方が大多数なのだから、「伝える」という仕事はなくならないはずなんだけど、それが大本営発表的なマスメディアだけでなく、ソーシャルメディアからの伝達が一般の人々にもアクセス可能になったのは、大きな進歩だよね。

日本におけるインターネットの普及率がどのくらいになったのか知らないけれど、もはやネットの世界はマスコミさんが言うような2ちゃんねるとオタばっかりの世界じゃなくなったわけでさ、マスコミによる一方通行のコミュニケーションじゃない、広大な言論空間として機能し始めたって感じじゃないですか?


というような、まとまりののないことをぼんやりと考えていたら、こんな記事が。
「参院選、どこに投票した? ”ネット出口調査”の傾向は」
「Yahoo! みんなの政治」と「ニコニコ動画」がネット上で参院選でどこに投票したかアンケート調査を行ったという話なんだけど、まだちょっと実際の参院選の結果とズレているところがある。ネット出口調査では、実際の結果よりも自民党が支持を得ている傾向があるとか、みんなの党の支持が多いとか。

まだ、ネットに親和的な層と一般有権者の間には差がある、ということでしょうが、やがてその差も小さくなっていくんですかねぇ。

July 10, 2010

最近、支持率調査っていかがわしくないですか?

参議院議員選挙が近づいていますね、という件で引き続き。

海外にいるので、毎日拡声器で名前を連呼する煩わしい選挙カーなんかとは無縁だし、日本のテレビ番組もほとんど見れないので(NHKワールドを時々見てるだけ)選挙の雰囲気は今ひとつないのですが、ネットのニュースを見てて思うのは、「報道機関って、こんなに始終世論調査をやってたっけ?」ってことなんですけど。小泉政権退陣後くらいからなんですかね、なんだか毎日のようにどっかで世論調査っていうか、政党支持率調査をやってる。

で、○○政権の支持率がまた下がったまた下がったと嘆いてみせる。それから、支持率が下がったのを見て、「〜への批判が影響していると思われる。」とか、したり顔な論評を書いてみせる。

でもね、このところその支持率調査の回数が多過ぎるというものあるんですけど、なんだか以前よりもマスコミのやる支持率調査、世論調査の説得力がなくなっていると思うのは、私だけ?

その1。
「無作為に電話をかけて意見を聞くRDD法で調査を行っています。有効回答率は65%。」っていうのが典型的な感じだけど、これって大丈夫なわけ? まず、「電話をかけたときに家にいる人」っていうところでバイアスがかかってるような気がしない?昼間電話してるのか、夜電話しているのか知らないですけど、有権者全体っていう母集団を正しく代表させるサンプルになってるのだろうか。もし昼間電話しているんだとしたら、会社員はほとんど電話にでないしさ。
 それから、有効回答率が6割、7割っていうのも、いいわけ?回答を拒否している人は、なんらかの理由があって回答してなくて、そこに何か有意なことが潜んでるんじゃないの?

その2。
マスコミが時の政権をけちょんけちょんに貶しておいて、そのマスコミが支持率調査をやるって、変じゃない?マスコミに批判的精神は必要だけど、いまの大手マスコミはあらゆる局面で揚げ足をとり、くだらないことを責め、「どうです?みなさん、○○総理はこんなにダメなんですよ。」って宣伝しまくるのが仕事になってるので、腹一杯そんな宣伝流しておいて、それから支持率調査をやったら、メディアリテラシーのあまり高くない層は「そうだそうだ!」って「支持しない」って回答するんじゃない?
「メディアリテラシーのあまり高くない層」ってやんわりと表現したけど、要はよくものを考えていないっていうか、内田樹先生の言葉をお借りすれば、「公民的成熟」が足りない層、っていう意味で使ったんだけど、マスコミの世論調査って、この層をターゲットにして調査を行ってないかって懸念がある。実はそういう層ってかなり厚いよ。mixiのニュースって、ニュースに会員がコメントを付けられるようになってますけど、ずらって並んでるあそこのコメントを見てみたら、反論する気にもならない意見、ノイズが山ほどぶら下がっててるじゃないですか。ああいう「公民的成熟」の足りない層にマスコミが「ほら、ひどいでしょう?」って訴えて、世論調査をやってるんじゃないの?マッチポンプっぽい話だけど。

その3。
世代間の対立に話を持って行きたくないので書くのは気が引けるんだけど、高度成長期に青年期壮年期を過ごしてきて人生に迷いが少なかった世代、がんばって努力すれば報われる、きっと明日は良くなる、って実際に良くなってた時代に第一線だった世代・・・団塊の世代とその上の世代・・・の意見がことさら大きく取り上げられてない?というのは、旧来のマスコミって、彼らのマスコミでしょ?それより下の世代は、旧来のマスコミも情報ソースのひとつだけど、その存在が相対化されてると思う。ソーシャルメディア、ネット論壇の情報に接してない層の「支持率調査」ないのって、疑っちゃう。


と、ぐだぐだ書いてみたけど、毎日毎日やられる報道機関の支持率調査、あれ見てると、なんか番組制作者側、報道側の人が、なんとかして政府、政権の足を引っ張って、支持率が下がれば手柄のように喜んで、辞任や罷免となれば「してやったり」って得意顔で自慢してるような様子が目に浮かぶんですけど。違うのかな?私の思い込み?

July 08, 2010

議員定数が少ないほどエラいわけじゃないよ。

参議院選挙が間近ですね。

いつものように、マニフェストに議員定数の削減を掲げている党もあるようです。

これね、いつも思うんですけど、ポーズだけっていうか、衆愚の歓心を買おうとしているだけって感じで、どうも面白くありません。日本の国力がかつてほどではなくなって、30代の会社員の年収の最頻値が10年前に比べて200万円くらい下がっているという昨今、閉塞感や徒労感に苛まれる庶民に訴えるために、甘い汁を吸っているように見えるところを叩くことで人気を稼ぐ作戦を取る政党が、まずは公務員叩きをやるんだけど、それとバランスをとるために、自分たちも痛みを分かち合っているのですよ、っていうポーズのためだけに議員定数の削減を公約に掲げてる。そんな気がする。

でもさ、議員を例えば100人減らしたとして、いくら節約になるわけ?議員歳費、政策調査費、秘書、事務所…っていう変動費は削れるだろうけど、国会の営繕費や運営経費がそう下がるわけでもなし、議員削減一人につき、せいぜい数千万円の節約になるだけじゃないの?政府予算だけで100兆円近く、特別会計はそれ以上の規模があるなかで、100人議員を削減して数十億円節約したって大した金額じゃない。100億円としても、政府予算の0.1%。

いや、それでも節約できるならした方がいい。それはいいに決まってる。でも、気になるのは、その0.1%の節約を根拠なく、気分でやろうとしていることなんですよね。「ほら、みなさんの大嫌いな議員の数をこんなに削ってますよ、だから文句は言わないでね」みたいな。

議院内閣制の下、1億2千万の国民の代表で議会を開くというとき、いったい何人議員がいれば、過不足なく公正に国民の意思を届けることができるのか。そういう観点から議員定数の妥当性を評価してほしい。

たとえばさ、参議院選挙の一票の格差は最大5倍もあるわけですよ。これは、参院の242人の定数をまず各県に定数をひとつずつ割り振って、残りを有権者の多いところから順に割り振っていく、っていうやり方をやってたんじゃ、絶対解決しない。だってさ、島根県や鳥取県よりも世田谷区の方が人口多いんだよ。東京は1000万以上いて、島根県あたりは50万人とかしかない。今の定数でいわゆる一票の格差を正そうと思えば、ちゃんと計算してないけど、たぶん、山陰地方で1、東京には20、というような割り振りにしないといけない。国会議員が一人もいない県、というのを認めなくちゃいけない。まあ、道州制を導入して「県」という行政区分をなくすのであれば、それはそれでもいいんでしょうけど。

そういうのが困る、県選出の国会議員がいないという状況では地域の声が国政に届くかどうか不安だし、公正でないと判断するのであれば、議員定数はむしろ増やす必要があるわけです。

議員定数の話って、こんな具合にいかに国民の声を公正に国政に届けるか、という観点で決めてほしい。定数300が500になった、といったって、そんなの日本の経済規模からすれば誤差の範囲ですよ。


お気づきだと思いますが、公正に国民の声を国政の場に届けるための最も基本的な条件は、一票の格差が1倍であること、だと思います。若干の誤差は仕方ないとしても、小数点以下四捨五入で1になるくらいじゃないとおかしい思うよ。一票の格差を1倍にして、多様な国民の意見を国政に公正に届けること。そのためにはどんな選挙制度で、議員定数をいくつにすべきか、そういう観点で議論してほしいんですよね。

「我が党は議員定数を400に減らします。」「うちの党は350に減らすとマニフェストに書いております。」

少ない方がエラいという根拠はなにもない。このところの議員定数削減の議論は、うっぷんのたまった国民におもねるだけで、なんの思想もないように感じられるのが、どうもイヤなのです。

July 03, 2010

誰が新聞を読んでいるのか。

当地でも、何日遅れかの日本の新聞(国際・衛星版)が買えるのですが、BBCだのCNNだのがあるし、事務所だとかろうじてNHKも見れるし、あとはネットで事足りる、ってことであんまり日本の新聞は見てませんでした。

が、こないだ、某読売新聞もこの地域で入手できるようになりました、って見本が届いていたので、久しぶりに見たんですよ。

そしたら、すごいんだよね、その紙上に出ている広告が。久しぶりに見て、びっくりした。片っ端から拾ってみると;

「アパート経営しませんか?」
「高畑淳子のゲルマニウム・コロコロ美容器具」
「尿もれが臭わない・目立たないパンツの通販」
「レディース・アートネイチャー」
「四季草花図掛け軸の通販」
「ウォーキング用の滑りにくい靴『楽足』」
「社団法人日本脳卒中協会」
「聞きづらい声もキャッチ・オムロンのイヤメイト」
「にんにく卵黄」
「強力わかもと」
「永く暮らそう『那須高原平和郷分譲地』暮らし安全サポート付」
「山田養蜂場のローヤルゼリー」
「マルウェイ書房『自分の棺はかつげない』」
「一万年堂出版『歎異抄をひらく』」

・・・

見事に中高年・老年向け広告ばっかりだよ。ほんと、お見事。だれが新聞を読んでいるのか、 一目瞭然です。新聞がエラそうに講釈たれて、「批判」という名のちっとも建設的でない文句ばっかり流してるのも、この世代の耳には心地よいんでしょうな。

しかし、新聞がヤバいとは聞いていましたが、これは相当マズいいよね。次の中高年・老年世代(今の青年・壮年世代)が新たな新聞購読層になる見込みがあるとは思えないしさ、ジリ貧になるのは素人目にも明らかじゃん。

July 02, 2010

幸運は幸運なんですが。




NECが人気沸騰の人工衛星「はやぶさ」のNEC特製プラモデルを300名様に抽選でプレゼント、という企画をネット上でやってて、 お、いいねぇって思って応募したんだけどね。

で、この「NEC特製」なんですけど、中身はアオシマ玩具の「はやぶさ」のプラモデルで、パッケージがNEC向けに カスタマイズされてて非売品扱いとなってるものらしい。

なんだ、アオシマのやつでよければ買えるんじゃん、中身は同じだしーって、amazonでアオシマの「はやぶさ」を即注文。今頃実家に届いてるはずです。

ネット上の情報では、アオシマの「はやぶさ」は 1万個も出荷してるって話だよ。私のamazonでの注文も、一回入荷が遅れるというお知らせが来たし、かなりの人気商品になってる模様。

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今日、メールをチェックしたら、「件名:【当選通知】はやぶさプラモデルプレゼント」 。

・・・わ、当たったらしい。


ということで、実家に「はやぶさ」が2個届きます。